恩田陸をひたすら読みふけっている。
昨年末に友人のブログで紹介された「ドミノ」を読んでみたらとても面白かった。複数の登場人物がバラバラに行動し、ストーリィが進むにつれて絡まっていく。映画「有頂天ホテル」を連想した。
その後、今年に入って、「ドミノ」とは趣きの違う「木曜組曲」「六番目の小夜子」「ネバーランド」を読了した。今は「光の帝国 常野物語」を読んでいる。
「光の帝国 常野物語」は不思議な力を持った人たちの連作短編集で、まだ途中までしか読んでいないけれど全体の雰囲気がとてもいい。温かみや悲しさで満たされている。小説にとって大事な要素の、意外性もある。
日記を書くのもそこそこに、読書に戻るとしよう。
昨年末に友人のブログで紹介された「ドミノ」を読んでみたらとても面白かった。複数の登場人物がバラバラに行動し、ストーリィが進むにつれて絡まっていく。映画「有頂天ホテル」を連想した。
その後、今年に入って、「ドミノ」とは趣きの違う「木曜組曲」「六番目の小夜子」「ネバーランド」を読了した。今は「光の帝国 常野物語」を読んでいる。
「光の帝国 常野物語」は不思議な力を持った人たちの連作短編集で、まだ途中までしか読んでいないけれど全体の雰囲気がとてもいい。温かみや悲しさで満たされている。小説にとって大事な要素の、意外性もある。
日記を書くのもそこそこに、読書に戻るとしよう。
「街道をゆく」を読んで
2004年10月15日 読書司馬遼太郎の「街道をゆく」の1冊目を読んだ。
これは、司馬遼太郎があちこち出かけて、いろいろ考察したもの。普通の旅行記に比べれば、話が脇道にそれがち(←タイトルは「街道をゆく」だけど)。
でもそこが面白かった。エッセイに近い本だった。
これは、司馬遼太郎があちこち出かけて、いろいろ考察したもの。普通の旅行記に比べれば、話が脇道にそれがち(←タイトルは「街道をゆく」だけど)。
でもそこが面白かった。エッセイに近い本だった。
人形はライブハウスで推理する
2004年9月13日 読書
我孫子武丸の「人形はライブハウスで推理する」を読了した。これは推理小説の短編集。
本書は人形シリーズの第4作にあたる。明るいタッチのユーモアミステリのシリーズだ。
前3作は「人形はこたつで推理する」「人形は遠足で推理する」「人形は眠れない」。
いずれも主人公は妹尾睦月(せのお むつき)。保育園の保育士をしていて、名前のせいで子供たちからは「おむつ」と呼ばれている。
その恋人が朝永嘉夫(ともなが よしお)。気弱で優しい腹話術士。シリーズを通して、2人の仲が発展していく。
睦月の心理が書かれたシーンも多く、謎解き以外の部分でも楽しめる。
この2人がいろいろな事件に巻き込まれるのだが、探偵役は嘉夫が操る人形の鞠小路鞠夫(まりこうじ まりお)。嘉夫が鞠夫をカバンから出すと、鞠夫は毒舌をまじえながら謎を解いてしまう。
「じゃあ人形を出さずに嘉夫が謎を解けばいい。」というツッコミが入りそうだけど、嘉夫と鞠夫の関係は複雑で・・・、詳しくはこのシリーズを最初から読むべし、読むべし。
「人形はライブハウスで推理する」は、推理小説の核である「謎」がちょっと小粒な印象を受ける。それでも面白く読めたのは、たぶん話の展開に無理が無いからだと思う。
この短編集の中で一番面白かったのは、「夏の記憶」。タイトルからして僕好みだったりするけど、内容もいい。
睦月が幼い頃、ある友達とケンカをしてしまう。仲直り出来ないまま友達は転校してしまい、睦月はお詫びの手紙を出したが、戻ってきてしまった。友達は嘘の新住所を教えたのだろうか、という話。
鞠夫が推理した真相が、せつない・・・。
推理小説なのに、読むと優しい気持ちになれる佳作。
本書は人形シリーズの第4作にあたる。明るいタッチのユーモアミステリのシリーズだ。
前3作は「人形はこたつで推理する」「人形は遠足で推理する」「人形は眠れない」。
いずれも主人公は妹尾睦月(せのお むつき)。保育園の保育士をしていて、名前のせいで子供たちからは「おむつ」と呼ばれている。
その恋人が朝永嘉夫(ともなが よしお)。気弱で優しい腹話術士。シリーズを通して、2人の仲が発展していく。
睦月の心理が書かれたシーンも多く、謎解き以外の部分でも楽しめる。
この2人がいろいろな事件に巻き込まれるのだが、探偵役は嘉夫が操る人形の鞠小路鞠夫(まりこうじ まりお)。嘉夫が鞠夫をカバンから出すと、鞠夫は毒舌をまじえながら謎を解いてしまう。
「じゃあ人形を出さずに嘉夫が謎を解けばいい。」というツッコミが入りそうだけど、嘉夫と鞠夫の関係は複雑で・・・、詳しくはこのシリーズを最初から読むべし、読むべし。
「人形はライブハウスで推理する」は、推理小説の核である「謎」がちょっと小粒な印象を受ける。それでも面白く読めたのは、たぶん話の展開に無理が無いからだと思う。
この短編集の中で一番面白かったのは、「夏の記憶」。タイトルからして僕好みだったりするけど、内容もいい。
睦月が幼い頃、ある友達とケンカをしてしまう。仲直り出来ないまま友達は転校してしまい、睦月はお詫びの手紙を出したが、戻ってきてしまった。友達は嘘の新住所を教えたのだろうか、という話。
鞠夫が推理した真相が、せつない・・・。
推理小説なのに、読むと優しい気持ちになれる佳作。
貫井徳郎の「プリズム」を読んだ。
推理小説である。事件はすごく単純で、小学校の先生が殺された事件について、4つの章に分かれて書かれている。
第1章は、殺された教師の教え子が推理をする。「ぼくは〜」という一人称で書かれている。その章の最後で結論が出たように見えるのだが、2章に入って、「オヤ?」と思わされる。
第2章は同僚の先生が推理する。「あたしは〜」という一人称。
以下、第3章は元・恋人の「おれ」。
第4章は被害者の不倫相手の「私」。
このように、1つの事件を4人がそれぞれ違った立場から推理する、という趣向。
この小説を読んだ人はどんな感想を持つだろうかと考えると、賛否両論きれいに分かれそうな気がする。
作者の意図が伝わってくるし、数学的な美しさのある物語ではあるのだけれど、この完結の仕方は・・・、好きか嫌いかで言ったら、僕は嫌い。
でも、貫井をまた何冊か読んでみたいと思わせる力があったので、また何か読む予定。
推理小説である。事件はすごく単純で、小学校の先生が殺された事件について、4つの章に分かれて書かれている。
第1章は、殺された教師の教え子が推理をする。「ぼくは〜」という一人称で書かれている。その章の最後で結論が出たように見えるのだが、2章に入って、「オヤ?」と思わされる。
第2章は同僚の先生が推理する。「あたしは〜」という一人称。
以下、第3章は元・恋人の「おれ」。
第4章は被害者の不倫相手の「私」。
このように、1つの事件を4人がそれぞれ違った立場から推理する、という趣向。
この小説を読んだ人はどんな感想を持つだろうかと考えると、賛否両論きれいに分かれそうな気がする。
作者の意図が伝わってくるし、数学的な美しさのある物語ではあるのだけれど、この完結の仕方は・・・、好きか嫌いかで言ったら、僕は嫌い。
でも、貫井をまた何冊か読んでみたいと思わせる力があったので、また何か読む予定。
世界は密室でできている。
2004年8月6日 読書
舞城王太郎の「世界は密室でできている。」を読み終わった。
福井に住む少年友紀夫(主人公)と名探偵ルンババがさまざまな事件に関わる。
あらすじをこう説明すると推理小説のようだが、普通の推理小説とは一味も二味も違う。推理小説というより、本のカバーに書いてあった「青春エンタ」というコピィがピッタリだ。
舞城のデビュー作「煙か土か食い物」を以前読んだ。あれは乱暴なシーンが多くてやや読みにくかったが、「世界は密室でできている。」は読みやすい。どんどん読めた。
「世界は〜」は「煙か土か食い物」とリンクしている部分もあって、「煙か土か食い物」を先に読んでおいてよかったと思った。
「世界は〜」の感想を一言で言うと、「突き抜けている」。
見立て殺人といい、出てきた死体の数といい、展開といい、こんな突き抜けた小説はそうはないだろう。ありきたりな小説に飽きてしまった人にはお勧め。
福井に住む少年友紀夫(主人公)と名探偵ルンババがさまざまな事件に関わる。
あらすじをこう説明すると推理小説のようだが、普通の推理小説とは一味も二味も違う。推理小説というより、本のカバーに書いてあった「青春エンタ」というコピィがピッタリだ。
舞城のデビュー作「煙か土か食い物」を以前読んだ。あれは乱暴なシーンが多くてやや読みにくかったが、「世界は密室でできている。」は読みやすい。どんどん読めた。
「世界は〜」は「煙か土か食い物」とリンクしている部分もあって、「煙か土か食い物」を先に読んでおいてよかったと思った。
「世界は〜」の感想を一言で言うと、「突き抜けている」。
見立て殺人といい、出てきた死体の数といい、展開といい、こんな突き抜けた小説はそうはないだろう。ありきたりな小説に飽きてしまった人にはお勧め。
青山物語1979―郷愁 完結編
2004年7月23日 読書
清水義範の「青山物語1979 郷愁 完結編」を読み終わった。
これは清水の自伝的な小説で、青山物語三部作の完結編にあたる。しかし小説内では清水ではなく、なぜか平岡という名前になっている。
ここでは、作家になることを夢見ながらサラリーマンとして働く平岡(清水)の姿が描かれている。この小説を通して知ることが出来るのは、清水が夢に向かってどう頑張ったか、どんな仕事をしたのか、職場の人間や友人たちとどのような付き合いをしていたのか、など。
この本は清水ファン以外にとってはどうでもいい本かもしれない、などと考えながら読んだが、途中から、いや、そうでもないかと思うようになった。
清水は人の気持ちが分かる人のようで、悩み事を抱えた人の相談相手になったり、愚痴の聞き役になったりする。人のことを真剣に考える清水を見ると、ファンではなくても心が温まると思う。
来週、清水は「爆笑問題のススメ」というテレビ番組に出演する。一番好きな芸人の番組に一番好きな作家が出るのだから、これは必見。
楽しみだ。
これは清水の自伝的な小説で、青山物語三部作の完結編にあたる。しかし小説内では清水ではなく、なぜか平岡という名前になっている。
ここでは、作家になることを夢見ながらサラリーマンとして働く平岡(清水)の姿が描かれている。この小説を通して知ることが出来るのは、清水が夢に向かってどう頑張ったか、どんな仕事をしたのか、職場の人間や友人たちとどのような付き合いをしていたのか、など。
この本は清水ファン以外にとってはどうでもいい本かもしれない、などと考えながら読んだが、途中から、いや、そうでもないかと思うようになった。
清水は人の気持ちが分かる人のようで、悩み事を抱えた人の相談相手になったり、愚痴の聞き役になったりする。人のことを真剣に考える清水を見ると、ファンではなくても心が温まると思う。
来週、清水は「爆笑問題のススメ」というテレビ番組に出演する。一番好きな芸人の番組に一番好きな作家が出るのだから、これは必見。
楽しみだ。
「翔ぶが如く 」読了
2004年7月13日 読書
「翔ぶが如く」を読み終わった。
ここに書かれているのは、明治初期の日本史である。征韓論をめぐる対立が生じるところから、西郷隆盛・大久保利通・川路利良の死まで。
例によって綿密な調査と、そして少しの推理を元に書かれている。
事実を基にした歴史物語であるが、さまざまな見方が出来そう。
たとえば、西郷と大久保の人物論として読むことが出来るし、あるいは、戦争における戦略・戦術書として読むことも可能かもしれない。役人と庶民のいさかいを著したもの、という見方もあるだろう。
読む人によっていろいろな捉え方が出来そうだ。
この本を通して深く考えさせられてしまったのは、「個」と「周囲」の関係についてだ。周囲というのは、個を取り囲む人間だけでなく、外国のこともそうだし、時代背景のこともそう。「翔ぶ(略)」に登場する人物は、自分の主張を通すためにはこういった「周囲」を利用することばかり考える(西郷は例外で、正攻法のみで主張を通そうとするが)。
たとえば、特権を奪われた士族の不満をそらすために外国へ遠征することを考えたり、不平士族は政府を倒すために自分以外の不平士族に協力を求めたり。こういった考えを思いつくには、「周囲」がよく分かっていないといけないと思う。
ちょっと飛躍するが、このことを自分にも当てはめてみた。僕と周囲の関係はどうなんだろうか。
自分も実生活で周りの人の考えが分からなくて悩んだり、逆に、考えが伝わらなくて誤解をされたりすることがある。「翔ぶ」を読んで、「周りの人のことをもっと知りたい。また、自分の気持ちをもっと知ってもらいたい。」と思うようになった。これは別に周囲を利用したいということではなくて、人と分かりあえれば素晴らしい、という意味だ。
裏を返せば、めったに会えない人や、もう連絡の取れなくなってしまった人と、もっと話をしておけばよかったぁぁぁぁと後悔するようになった、ということ。
せっかく人と分かりあえるチャンスがあったのに、それをつぶしてばかりだった、と今になって思う。
さて、これ以外に感じたことを簡潔に書くと、
・大久保と西郷の友情が熱い。
・谷干城と山川浩も熱い。
・熊本城に行きたくなった。
・「翔ぶ」が大河ドラマで放送されたとき、どんなキャストだったんだろう?
・ボスのおじいさんは大天才の引き立て役みたいな書かれ方だ。
「翔ぶが如く」はとにかく深い。読むのに時間がかかってしまうけど、おりを見てまた読み返したいと思う。読むたびに、ものの見方たが新しくなりそうな、そんな気がする。
ここに書かれているのは、明治初期の日本史である。征韓論をめぐる対立が生じるところから、西郷隆盛・大久保利通・川路利良の死まで。
例によって綿密な調査と、そして少しの推理を元に書かれている。
事実を基にした歴史物語であるが、さまざまな見方が出来そう。
たとえば、西郷と大久保の人物論として読むことが出来るし、あるいは、戦争における戦略・戦術書として読むことも可能かもしれない。役人と庶民のいさかいを著したもの、という見方もあるだろう。
読む人によっていろいろな捉え方が出来そうだ。
この本を通して深く考えさせられてしまったのは、「個」と「周囲」の関係についてだ。周囲というのは、個を取り囲む人間だけでなく、外国のこともそうだし、時代背景のこともそう。「翔ぶ(略)」に登場する人物は、自分の主張を通すためにはこういった「周囲」を利用することばかり考える(西郷は例外で、正攻法のみで主張を通そうとするが)。
たとえば、特権を奪われた士族の不満をそらすために外国へ遠征することを考えたり、不平士族は政府を倒すために自分以外の不平士族に協力を求めたり。こういった考えを思いつくには、「周囲」がよく分かっていないといけないと思う。
ちょっと飛躍するが、このことを自分にも当てはめてみた。僕と周囲の関係はどうなんだろうか。
自分も実生活で周りの人の考えが分からなくて悩んだり、逆に、考えが伝わらなくて誤解をされたりすることがある。「翔ぶ」を読んで、「周りの人のことをもっと知りたい。また、自分の気持ちをもっと知ってもらいたい。」と思うようになった。これは別に周囲を利用したいということではなくて、人と分かりあえれば素晴らしい、という意味だ。
裏を返せば、めったに会えない人や、もう連絡の取れなくなってしまった人と、もっと話をしておけばよかったぁぁぁぁと後悔するようになった、ということ。
せっかく人と分かりあえるチャンスがあったのに、それをつぶしてばかりだった、と今になって思う。
さて、これ以外に感じたことを簡潔に書くと、
・大久保と西郷の友情が熱い。
・谷干城と山川浩も熱い。
・熊本城に行きたくなった。
・「翔ぶ」が大河ドラマで放送されたとき、どんなキャストだったんだろう?
・ボスのおじいさんは大天才の引き立て役みたいな書かれ方だ。
「翔ぶが如く」はとにかく深い。読むのに時間がかかってしまうけど、おりを見てまた読み返したいと思う。読むたびに、ものの見方たが新しくなりそうな、そんな気がする。
今日はやることがなくて、一日中読書をしていた。
ということで、舞城王太郎の「煙か土か食い物」の感想文。
この話の主人公はアメリカ在住の外科医。アメリカ人ではなく、奈津川四郎という日本人。ある日、実家のある福井から連絡が入る。母親が頭を殴られて意識不明になったという連絡だ。
日本に戻った主人公は犯人探しを開始する・・・。
この小説を読んでいて、ところどころ苦痛を感じた。というのは、残酷なシーンが多すぎるのだ。血が流れるシーンを綿密に描写する必要はないと思うし、人が殴り合うシーンもこんなにたくさん書くことはないだろう。
というわけで、人には勧めない一冊。
ということで、舞城王太郎の「煙か土か食い物」の感想文。
この話の主人公はアメリカ在住の外科医。アメリカ人ではなく、奈津川四郎という日本人。ある日、実家のある福井から連絡が入る。母親が頭を殴られて意識不明になったという連絡だ。
日本に戻った主人公は犯人探しを開始する・・・。
この小説を読んでいて、ところどころ苦痛を感じた。というのは、残酷なシーンが多すぎるのだ。血が流れるシーンを綿密に描写する必要はないと思うし、人が殴り合うシーンもこんなにたくさん書くことはないだろう。
というわけで、人には勧めない一冊。
最後の将軍―徳川慶喜
2004年6月3日 読書
司馬遼太郎の「最後の将軍 ―徳川慶喜―」を読み終わった。
読み始めると興味深いことばかりで、一気に読んだ。
たとえば、徳川慶喜が当時の人間にどう思われていたかなんて気にしたことは無かったけども、司馬遼太郎の手にかかるとそういったことが実に興味深く頭に入ってくる。
大政奉還後、人を避けて生きる慶喜がちょっと切ないが、この本の見所はそこよりも、周りの人を説得しようとして精力的に熱弁するところ、かもしれない。
次は「翔ぶが如く」を読みたい。
読みたい理由は、ボスの祖父が出ていると聞いたことや、「最後の将軍」に、慶喜が薩摩の人間を嫌っていたという記述があったこと、など。
「翔ぶが如く」は10巻もあるから、読み終わるのがいつになることやら。
勤務中に本を読んでも怒られないだろうと思って出版社に就職したんだけど、実際は読めやしない・・・。
読み始めると興味深いことばかりで、一気に読んだ。
たとえば、徳川慶喜が当時の人間にどう思われていたかなんて気にしたことは無かったけども、司馬遼太郎の手にかかるとそういったことが実に興味深く頭に入ってくる。
大政奉還後、人を避けて生きる慶喜がちょっと切ないが、この本の見所はそこよりも、周りの人を説得しようとして精力的に熱弁するところ、かもしれない。
次は「翔ぶが如く」を読みたい。
読みたい理由は、ボスの祖父が出ていると聞いたことや、「最後の将軍」に、慶喜が薩摩の人間を嫌っていたという記述があったこと、など。
「翔ぶが如く」は10巻もあるから、読み終わるのがいつになることやら。
勤務中に本を読んでも怒られないだろうと思って出版社に就職したんだけど、実際は読めやしない・・・。
久しぶりに読書感想文
2004年5月29日 読書
「爆笑問題のそんなことまで聞いてない」を読み終えた。
この本は、「週刊プレイボーイ」に連載されたコラムを元に加筆・修正された漫才集。2003年の3月から2004年の2月にかけて話題になったこと、たとえばマイケル・ジャクソンや、キル・ビルについてなど、太田と田中がしゃべっている。
ネタの最後に、その話題についての補足的な説明があるのはよかった。
しかし、太田のボケがかなり強引で、あんまり笑えなかった。ちょっと期待外れ。
テレビで見る爆笑問題は好きなんだけどなあ。
この本は、「週刊プレイボーイ」に連載されたコラムを元に加筆・修正された漫才集。2003年の3月から2004年の2月にかけて話題になったこと、たとえばマイケル・ジャクソンや、キル・ビルについてなど、太田と田中がしゃべっている。
ネタの最後に、その話題についての補足的な説明があるのはよかった。
しかし、太田のボケがかなり強引で、あんまり笑えなかった。ちょっと期待外れ。
テレビで見る爆笑問題は好きなんだけどなあ。
世に棲む日日〈全4巻〉
2004年5月12日 読書
「世に棲む日日」のことを書きたいと思う。
「世に棲む日日」全4巻を読んでいる途中である、ということは以前すでにのべた。先ほどすべて読み終わり、今、机の上に4冊とも積み上げられている。
幕末の長州藩は舞台が整い、かつ、役者が揃っていた感がある。
このころの長州藩は幕府や諸外国を相手に綱渡りのような外交をせねばならなかった。それをことごとく成功させたのはひとえに役者すなわち松下村塾系の長州藩士の活躍による。
清廉なる思想家の吉田寅次郎(松陰)、類まれなる智略の才とカリスマ性を兼ね備えた高杉晋作。
長州藩の迷走に翻弄されながらも獅子奮迅の働きをする井上聞多(馨)、慎重にことを為す老獪な山県狂介(有朋)、そして、本書の中では行方不明でまったくいいところのない桂小五郎(木戸孝允)。
このうちのたれもが能力を存分に発揮し長州藩をみちびいてゆく。ひいては維新政府をみちびくことになるのだが、本書の内容は晋作の死までである。
司馬遼太郎は、幕末という激動の時代を流麗な筆致でえがいている。しかし「世に棲む日日」は単なる歴史小説にとどまらず、思想と行動について深く考えさせる内容にもなっている。
歴史を動かすのはときとして思想と行動である、ということを考えずにはいられなかった。
この文章は司馬遼太郎の文体を模倣しているつもりである。このことは本筋とは関係がない。余談であった。
(うわー、下手な真似だ。普通に書いたほうが良かったか・・・?)
「世に棲む日日」全4巻を読んでいる途中である、ということは以前すでにのべた。先ほどすべて読み終わり、今、机の上に4冊とも積み上げられている。
幕末の長州藩は舞台が整い、かつ、役者が揃っていた感がある。
このころの長州藩は幕府や諸外国を相手に綱渡りのような外交をせねばならなかった。それをことごとく成功させたのはひとえに役者すなわち松下村塾系の長州藩士の活躍による。
清廉なる思想家の吉田寅次郎(松陰)、類まれなる智略の才とカリスマ性を兼ね備えた高杉晋作。
長州藩の迷走に翻弄されながらも獅子奮迅の働きをする井上聞多(馨)、慎重にことを為す老獪な山県狂介(有朋)、そして、本書の中では行方不明でまったくいいところのない桂小五郎(木戸孝允)。
このうちのたれもが能力を存分に発揮し長州藩をみちびいてゆく。ひいては維新政府をみちびくことになるのだが、本書の内容は晋作の死までである。
司馬遼太郎は、幕末という激動の時代を流麗な筆致でえがいている。しかし「世に棲む日日」は単なる歴史小説にとどまらず、思想と行動について深く考えさせる内容にもなっている。
歴史を動かすのはときとして思想と行動である、ということを考えずにはいられなかった。
この文章は司馬遼太郎の文体を模倣しているつもりである。このことは本筋とは関係がない。余談であった。
(うわー、下手な真似だ。普通に書いたほうが良かったか・・・?)
泣いた。
声を出して泣いた。
顔をゆがめて泣いた。
2ちゃんねるというと、悪いうわさもよく聞く。しかしこの本は2chの悪評とは関係ない。
人の温かさをストレートに伝えてくる名著だ。
この本の編集スタッフが編集中に泣き出した、という話を聞いて、読みたいと思っていたのだが、さっき読み終わった。タオルを片手に、涙を拭きながらこれを書いている。
この本で取り上げられているのは、たとえばこんな話である。
4歳になる娘が、字を教えてほしいといってきたので、どうせすぐ飽きるだろうと思いつつも、毎晩教えていた。
ある日、娘の通っている保育園の先生から電話があった。
「○○ちゃんから、神様に手紙を届けてほしいって言われたんです」
こっそりと中を読んでみたら、
「いいこにするので、ぱぱをかえしてください。
おねがいします」
と書いてあったそうだ。
旦那は去年、交通事故で他界した。
字を覚えたかったのは、神様に手紙を書くためだったんだ……
受話器を持ったまま、私も先生も泣いてしまった。
「もう少ししたら、パパ戻って来るんだよ〜」
最近、娘が明るい声を出す意味がこれでやっとつながった。
娘の心と、写真にしか残っていない旦那を思って涙が止まらない。
(以上、本文より引用)
感動した。
と同時に、今までの自分の行動を考えて恥じた。自分は純粋な気持ちなんてとっくに薄れ、また、人の役に立つこともなく、むしろ余計なことばかりしている。嫌いな人に向かって、冷淡を通り越した態度をとったりとか。その人を嫌いになった原因だって、ささいなことだ。
それ以外にもいろいろと反省し、どんどん落ち込む・・・。鬱になりそうなくらいに。
しかし、この本を読むと、かすかな希望が見えてくる。自分のしたことについて今さら言い訳は出来ないし、する気もないが、世界は僕のようなDQNばかりではないのだ(←DQNの使い方あっている?)。この本を読むと前向きになれる。性善説を信じられるようになる。
文句なしにお勧め。たくさんの人に読んでほしい。
声を出して泣いた。
顔をゆがめて泣いた。
2ちゃんねるというと、悪いうわさもよく聞く。しかしこの本は2chの悪評とは関係ない。
人の温かさをストレートに伝えてくる名著だ。
この本の編集スタッフが編集中に泣き出した、という話を聞いて、読みたいと思っていたのだが、さっき読み終わった。タオルを片手に、涙を拭きながらこれを書いている。
この本で取り上げられているのは、たとえばこんな話である。
4歳になる娘が、字を教えてほしいといってきたので、どうせすぐ飽きるだろうと思いつつも、毎晩教えていた。
ある日、娘の通っている保育園の先生から電話があった。
「○○ちゃんから、神様に手紙を届けてほしいって言われたんです」
こっそりと中を読んでみたら、
「いいこにするので、ぱぱをかえしてください。
おねがいします」
と書いてあったそうだ。
旦那は去年、交通事故で他界した。
字を覚えたかったのは、神様に手紙を書くためだったんだ……
受話器を持ったまま、私も先生も泣いてしまった。
「もう少ししたら、パパ戻って来るんだよ〜」
最近、娘が明るい声を出す意味がこれでやっとつながった。
娘の心と、写真にしか残っていない旦那を思って涙が止まらない。
(以上、本文より引用)
感動した。
と同時に、今までの自分の行動を考えて恥じた。自分は純粋な気持ちなんてとっくに薄れ、また、人の役に立つこともなく、むしろ余計なことばかりしている。嫌いな人に向かって、冷淡を通り越した態度をとったりとか。その人を嫌いになった原因だって、ささいなことだ。
それ以外にもいろいろと反省し、どんどん落ち込む・・・。鬱になりそうなくらいに。
しかし、この本を読むと、かすかな希望が見えてくる。自分のしたことについて今さら言い訳は出来ないし、する気もないが、世界は僕のようなDQNばかりではないのだ(←DQNの使い方あっている?)。この本を読むと前向きになれる。性善説を信じられるようになる。
文句なしにお勧め。たくさんの人に読んでほしい。
超・殺人事件―推理作家の苦悩
2004年5月7日 読書
東野圭吾「超・殺人事件―推理作家の苦悩」。
これは最近の推理小説をからかったパロディだ。本格的な推理小説もいいけど、こういうお笑いも大好き。
東野がこの短編集でやっているのは、文体模倣だ。
僕も文体模倣は好きで、会社からのお知らせの真似をして1000アクセスのお礼を言ったりした。あれは大して面白くなかったかもしれないけど、うまい人が文体模倣をすると本当に面白い。
東野がこの小説でどのように文体模倣をしているかというと、「超高齢化社会殺人事件」では、現代的な感覚のなくなった年老いた作家が推理小説を書くとこのようになるだろう、という極端な小説を書いている。読むと声を出して笑える。電車の中で読むと危険。
このほか、この短編集の最後に収められている「超読書機械殺人事件」では書評を文体模倣をしている。ある小説があって、この小説を誉めるような書評を書くとどうなるか、けなす書評を書くとどうなるか。この2つを読み比べると面白さと同時にうまさも感じる。
オチも少しブラックで、センスの良さをうかがわせる。
全編を通して推理小説への皮肉が感じられるが、本当に推理小説を愛していないとこういう小説は書けないだろう。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
今日の仕事は・・・、ちょっと疲れた。
「これ、まむ君に頼もうと思ってうっかりしていたんだけど。」というようなことを立て続けに3度も言われた。1度目と2度目は黙って処理したけど、3度目は天を仰いでため息をついてしまった。ゴールデンウィークの前に言ってくれれば余裕があったのに。
頼まれごとの内容もひどくて、「Hさんが作った企画書の数字が合わない。どこが間違っているか探せ。」なんて仕事は、やる気が起きないよ。
Hさんに戻せばいいじゃないですか、って反抗したんだけど、ボスとHさんは数字に弱いんだから頼むよ、と言われた。あんな、なりふりをかまわず僕に頼むボスは初めて見た。それで、僕の心の中の何かがポッキリと折れ、結局お手伝いした。
僕も数字に強いわけじゃないのにな・・・。
これは最近の推理小説をからかったパロディだ。本格的な推理小説もいいけど、こういうお笑いも大好き。
東野がこの短編集でやっているのは、文体模倣だ。
僕も文体模倣は好きで、会社からのお知らせの真似をして1000アクセスのお礼を言ったりした。あれは大して面白くなかったかもしれないけど、うまい人が文体模倣をすると本当に面白い。
東野がこの小説でどのように文体模倣をしているかというと、「超高齢化社会殺人事件」では、現代的な感覚のなくなった年老いた作家が推理小説を書くとこのようになるだろう、という極端な小説を書いている。読むと声を出して笑える。電車の中で読むと危険。
このほか、この短編集の最後に収められている「超読書機械殺人事件」では書評を文体模倣をしている。ある小説があって、この小説を誉めるような書評を書くとどうなるか、けなす書評を書くとどうなるか。この2つを読み比べると面白さと同時にうまさも感じる。
オチも少しブラックで、センスの良さをうかがわせる。
全編を通して推理小説への皮肉が感じられるが、本当に推理小説を愛していないとこういう小説は書けないだろう。
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今日の仕事は・・・、ちょっと疲れた。
「これ、まむ君に頼もうと思ってうっかりしていたんだけど。」というようなことを立て続けに3度も言われた。1度目と2度目は黙って処理したけど、3度目は天を仰いでため息をついてしまった。ゴールデンウィークの前に言ってくれれば余裕があったのに。
頼まれごとの内容もひどくて、「Hさんが作った企画書の数字が合わない。どこが間違っているか探せ。」なんて仕事は、やる気が起きないよ。
Hさんに戻せばいいじゃないですか、って反抗したんだけど、ボスとHさんは数字に弱いんだから頼むよ、と言われた。あんな、なりふりをかまわず僕に頼むボスは初めて見た。それで、僕の心の中の何かがポッキリと折れ、結局お手伝いした。
僕も数字に強いわけじゃないのにな・・・。
「今夜はパラシュート博物館へ」
2004年4月29日 読書
森博嗣の「今夜はパラシュート博物館へ」を読み終わった。
ジャンル分けをすると、これはミステリの短編集ということになるのだろうが、必ずしもそう言いきれない小説も混ざっている。たとえば、最後の短編の「素敵な模型屋さん」はノスタルジィを感じるし、「私の崖はこの夏のアウトライン」は一応ミステリなんだろうけど、まるで詩を読むようだ。
一通り読んでみて、さっぱり意味が分からない部分もあった。「どちらかが魔女」の釘の理由とか、「ゲームの国」のアナグラムとか。
ネットでネタばれサイトを探して著者の意図を理解し、手元の本を再読して、やっと面白さが分かった。
この短編集の中では「卒業文集」が一番好き。小学生が卒業文集に寄せた文章のみで構成されているのだが、みんな謎めいていて、最後の一人の文章でやっと全部の意味が分かるようになっている。これはお勧め。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
さて、これからちょっと出かけてきます。
両国の江戸東京博物館に行って新選組展を見て、その後仲間と遊ぶ予定。
NHKの大河ドラマでは新「選」組だけど、IMEの変換では新「撰」組しか出てこない。どちらでも良いという説が最有力のようだが、いろいろな意見があって面白い。遊びから帰ってきたらここで紹介したい。
でも、うまく書けなかったら何も書きません(おい)。
ジャンル分けをすると、これはミステリの短編集ということになるのだろうが、必ずしもそう言いきれない小説も混ざっている。たとえば、最後の短編の「素敵な模型屋さん」はノスタルジィを感じるし、「私の崖はこの夏のアウトライン」は一応ミステリなんだろうけど、まるで詩を読むようだ。
一通り読んでみて、さっぱり意味が分からない部分もあった。「どちらかが魔女」の釘の理由とか、「ゲームの国」のアナグラムとか。
ネットでネタばれサイトを探して著者の意図を理解し、手元の本を再読して、やっと面白さが分かった。
この短編集の中では「卒業文集」が一番好き。小学生が卒業文集に寄せた文章のみで構成されているのだが、みんな謎めいていて、最後の一人の文章でやっと全部の意味が分かるようになっている。これはお勧め。
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さて、これからちょっと出かけてきます。
両国の江戸東京博物館に行って新選組展を見て、その後仲間と遊ぶ予定。
NHKの大河ドラマでは新「選」組だけど、IMEの変換では新「撰」組しか出てこない。どちらでも良いという説が最有力のようだが、いろいろな意見があって面白い。遊びから帰ってきたらここで紹介したい。
でも、うまく書けなかったら何も書きません(おい)。
司馬遼太郎の「幕末」を読み終わった。ここに表紙を貼りたかったけど、画像が見つからなかった・・・。
まず思ったのは、文章うますぎ、ということ。
普通、作家が文章うまいのは当たり前の話だが、司馬の文才は桁が違う。
簡潔に、流れるように書かれているのに、必要なことはしっかり書かれている。人物描写が巧みでエピソードをうまく挟んだり、情景が目に浮かんだりする。
司馬遼太郎の文章の特徴を本気で学べば自分も文章がうまくなれそう、なんて思ってしまった。司馬の境地に自分が達するなんて不可能だけど、今よりはマシになりそう。
次に思ったのは、取材や調査の綿密さ。
いつどこにどんな人がいて、というだけでなく、当時の言葉から刀の種類まで、非常に細かく調べている印象を受けた(そういう細かい所をさらりと書ききってしまうところがまたすごい)。
これだけの調査を行ったということは、司馬はこの時代が本当に好きなんだろう。
この、幕末の混乱期の暗殺をテーマにした連作の中で、一番印象に残ったのは「死んでも死なぬ」。
伊藤俊輔(のちの博文)と井上聞多(のちの馨)の話。出だしからして強烈。えー、こんな場面から書き始めるの?
ここで書かれている俊輔と聞多はすごく魅力的だ。それなのに最後の最後で、井上馨は「貪官汚吏(たんかんおり)の巨魁として悪名をのこした」。
・・・、これだけ魅力的に書いておいて、そうなるのか・・・。
いい意味で、「死んでも死なぬ」には感覚を破壊された。
本題からちょっと離れて、国語の話。
この本を読んで気付いたのだが、現代語の「〜します」というのは「〜し申す」(しもうす、ではなく、しもす)が語源なのか?第1話の「桜田門外の変」に出てくる会話を読んでそう思った。
最後に一言、どうしても言いたいのは・・・、この本、蛍光ペンでラインがひかれていたり、余白にメモ書きがあったりした。
たれがやったか知らんが、図書館の本にそういうことをする不届き者には天誅でごあす。
まず思ったのは、文章うますぎ、ということ。
普通、作家が文章うまいのは当たり前の話だが、司馬の文才は桁が違う。
簡潔に、流れるように書かれているのに、必要なことはしっかり書かれている。人物描写が巧みでエピソードをうまく挟んだり、情景が目に浮かんだりする。
司馬遼太郎の文章の特徴を本気で学べば自分も文章がうまくなれそう、なんて思ってしまった。司馬の境地に自分が達するなんて不可能だけど、今よりはマシになりそう。
次に思ったのは、取材や調査の綿密さ。
いつどこにどんな人がいて、というだけでなく、当時の言葉から刀の種類まで、非常に細かく調べている印象を受けた(そういう細かい所をさらりと書ききってしまうところがまたすごい)。
これだけの調査を行ったということは、司馬はこの時代が本当に好きなんだろう。
この、幕末の混乱期の暗殺をテーマにした連作の中で、一番印象に残ったのは「死んでも死なぬ」。
伊藤俊輔(のちの博文)と井上聞多(のちの馨)の話。出だしからして強烈。えー、こんな場面から書き始めるの?
ここで書かれている俊輔と聞多はすごく魅力的だ。それなのに最後の最後で、井上馨は「貪官汚吏(たんかんおり)の巨魁として悪名をのこした」。
・・・、これだけ魅力的に書いておいて、そうなるのか・・・。
いい意味で、「死んでも死なぬ」には感覚を破壊された。
本題からちょっと離れて、国語の話。
この本を読んで気付いたのだが、現代語の「〜します」というのは「〜し申す」(しもうす、ではなく、しもす)が語源なのか?第1話の「桜田門外の変」に出てくる会話を読んでそう思った。
最後に一言、どうしても言いたいのは・・・、この本、蛍光ペンでラインがひかれていたり、余白にメモ書きがあったりした。
たれがやったか知らんが、図書館の本にそういうことをする不届き者には天誅でごあす。
「もうなつかしい平成の年表」を読んで
2004年4月7日 読書
清水義範の「もうなつかしい平成の年表」を読み終わった。
これは小説ではなく、何年の何月何日に何があって、ということを記録したものだ。平成元年から平成11年まで、約10年分のニュースをまとめて読むような感じ。
ところどころ清水の感想が書かれているが、彼の意見が強く主張されるということは無い。
これを読んでも、残念ながら大した感想を持てなかった。「ああ、こんなことあったあった。」とか、「この頃、自分は何をやっていたっけ?」とか、その程度。
日付順に書かれているため一つ一つのニュースに関連性があまりなく、深くつっこんで考えるのを難しくしてしまうのだ。
清水は表現を工夫して、まとまりを持たせようとしてはいるが、日付順だからどうしても話が飛ぶ。
逆に、日付順という制約がある中で良く書けている、と言えなくもない。
うーむ、私淑する作家だから大いに持ち上げたいところなんだけど、今日の感想文は歯切れが悪くなってしまった・・・。
もしかしたら、爆笑問題の「日本原論」のシリーズと併読すると、この本も面白いかもしれない。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
現在読みかけなのは西澤保彦の「解体諸因」。それと、買ったまま手つかずになっている、森博嗣の「今夜はパラシュート博物館へ」。
でも「もうなつかしい平成の年表」と「ゲームの名は誘拐」を図書館に返しに行くと、ついつい別の本を借りちゃって、手持ちの本を読むのは後回しになってしまうんだよなー。
次に図書館に行くのは、今度の土曜日になりそう。まだ1冊も読んだことの無い司馬遼太郎を読んでみたいと思う今日この頃。
これは小説ではなく、何年の何月何日に何があって、ということを記録したものだ。平成元年から平成11年まで、約10年分のニュースをまとめて読むような感じ。
ところどころ清水の感想が書かれているが、彼の意見が強く主張されるということは無い。
これを読んでも、残念ながら大した感想を持てなかった。「ああ、こんなことあったあった。」とか、「この頃、自分は何をやっていたっけ?」とか、その程度。
日付順に書かれているため一つ一つのニュースに関連性があまりなく、深くつっこんで考えるのを難しくしてしまうのだ。
清水は表現を工夫して、まとまりを持たせようとしてはいるが、日付順だからどうしても話が飛ぶ。
逆に、日付順という制約がある中で良く書けている、と言えなくもない。
うーむ、私淑する作家だから大いに持ち上げたいところなんだけど、今日の感想文は歯切れが悪くなってしまった・・・。
もしかしたら、爆笑問題の「日本原論」のシリーズと併読すると、この本も面白いかもしれない。
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現在読みかけなのは西澤保彦の「解体諸因」。それと、買ったまま手つかずになっている、森博嗣の「今夜はパラシュート博物館へ」。
でも「もうなつかしい平成の年表」と「ゲームの名は誘拐」を図書館に返しに行くと、ついつい別の本を借りちゃって、手持ちの本を読むのは後回しになってしまうんだよなー。
次に図書館に行くのは、今度の土曜日になりそう。まだ1冊も読んだことの無い司馬遼太郎を読んでみたいと思う今日この頃。
「ゲームの名は誘拐」読了
2004年3月29日 読書
東野圭吾の「ゲームの名は誘拐」の感想を書いておく。
いやー、すごいわコレ。一気に全部読んだ。
主人公は佐久間という男。佐久間は仕事のことでクライアントの葛城に恨みをもつようになる。偶然、葛城の娘と接触した佐久間は、娘本人の協力を得て、誘拐したことにして葛城から身代金を奪うことを計画する・・・。
身代金を奪うシーンが一つの山場で、警察が動いているかどうか不透明でスリリングだ。しかし、そこだけが見所ではない。その先も不安感に満ちた展開が続く。
そして、最後の1行がまたすごい。「あれ、これって・・・?あーー、そういうことかー。」読み終わったときの爽快感といったらもう。
ベッドに寝そべって読んでいたんだけど、思わず仰向けにひっくり返って、足をバタバタさせてしまった。
登場人物の思惑を過不足無く書ききっているし、伏線もきれいに張られている。精緻すぎる構成に脱帽。
事件の真相を全部知ってから、また初めから読んでみたが、アンフェアな叙述も無い。
「ゲームの名は誘拐」は今まで読んだミステリの中で5本の指に入る(他は綾辻行人の「水車館の殺人」と宮部みゆきの「蒲生邸事件」など。たくさん読んでいるわけではなく、個人的に好きな小説を勝手に挙げているだけなので、本を買う際の参考にはしないでください)。
いやー、ほんとにすごいミステリだった・・・。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
将棋仲間のみなさんへ
昨日の交流戦はお疲れ様でした。
交流戦のドサクサにまぎれて(?)このページのことをお伝えしましたが、御覧のように将棋の話はほとんどありません。たまに将棋の話題があっても、将棋ファン向けではなく、どちらかというと将棋を知らない人にこういう世界のあることを伝えたいという気持ちで書いているので、みなさんから見るとつまらないかと思います。
これからは将棋の話を増やさないといけないなー、というような殊勝な考え方をする僕ではなく、これからも適当にやっていきます。書きたいことだけ書く予定。
ごめんなさい。
剣蛇より
いやー、すごいわコレ。一気に全部読んだ。
主人公は佐久間という男。佐久間は仕事のことでクライアントの葛城に恨みをもつようになる。偶然、葛城の娘と接触した佐久間は、娘本人の協力を得て、誘拐したことにして葛城から身代金を奪うことを計画する・・・。
身代金を奪うシーンが一つの山場で、警察が動いているかどうか不透明でスリリングだ。しかし、そこだけが見所ではない。その先も不安感に満ちた展開が続く。
そして、最後の1行がまたすごい。「あれ、これって・・・?あーー、そういうことかー。」読み終わったときの爽快感といったらもう。
ベッドに寝そべって読んでいたんだけど、思わず仰向けにひっくり返って、足をバタバタさせてしまった。
登場人物の思惑を過不足無く書ききっているし、伏線もきれいに張られている。精緻すぎる構成に脱帽。
事件の真相を全部知ってから、また初めから読んでみたが、アンフェアな叙述も無い。
「ゲームの名は誘拐」は今まで読んだミステリの中で5本の指に入る(他は綾辻行人の「水車館の殺人」と宮部みゆきの「蒲生邸事件」など。たくさん読んでいるわけではなく、個人的に好きな小説を勝手に挙げているだけなので、本を買う際の参考にはしないでください)。
いやー、ほんとにすごいミステリだった・・・。
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将棋仲間のみなさんへ
昨日の交流戦はお疲れ様でした。
交流戦のドサクサにまぎれて(?)このページのことをお伝えしましたが、御覧のように将棋の話はほとんどありません。たまに将棋の話題があっても、将棋ファン向けではなく、どちらかというと将棋を知らない人にこういう世界のあることを伝えたいという気持ちで書いているので、みなさんから見るとつまらないかと思います。
これからは将棋の話を増やさないといけないなー、というような殊勝な考え方をする僕ではなく、これからも適当にやっていきます。書きたいことだけ書く予定。
ごめんなさい。
剣蛇より
「バスクとスペイン内戦」を途中まで読んで
2004年3月27日 読書
「バスクとスペイン内戦」、読みきれなかった。半分ほど読んだところで返却の期限がきてしまった。延長してまで読みたいとは思わないので、今日図書館に返してきた。
だってー、カタカナの固有名詞もアルファベットの略称も、全然頭に入ってこないんだもの。
スペインの混乱について読みすすめるうちに、僕の頭も一緒になって混乱する。そしていつのまにか睡魔がやってきて、ラリホー、ラリホー、ラリホー・・・zzzzz。
メダパニとラリホーが同時にかかったらリセットを押したくなるよね・・・って、何の話だ?
さて、それでも無理矢理に感想文を書いてみると、こうなる。
昔、バスクにアギーレという男がいました。彼はバスクの独立のために頑張ったのですが、バスクは今も独立出来ません。でも僕は、アギーレってすごいなって思いました。
おしまい。
うう、こんな感想しか持てないようでは、執筆者に失礼だ・・・。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
やっと、「ゲームの名は誘拐」を借りることが出来た。もしも今日も図書館になかったら、貸出予約を入れようと思っていた。
借りられて良かった。一気に読んでしまいそう。
だってー、カタカナの固有名詞もアルファベットの略称も、全然頭に入ってこないんだもの。
スペインの混乱について読みすすめるうちに、僕の頭も一緒になって混乱する。そしていつのまにか睡魔がやってきて、ラリホー、ラリホー、ラリホー・・・zzzzz。
メダパニとラリホーが同時にかかったらリセットを押したくなるよね・・・って、何の話だ?
さて、それでも無理矢理に感想文を書いてみると、こうなる。
昔、バスクにアギーレという男がいました。彼はバスクの独立のために頑張ったのですが、バスクは今も独立出来ません。でも僕は、アギーレってすごいなって思いました。
おしまい。
うう、こんな感想しか持てないようでは、執筆者に失礼だ・・・。
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やっと、「ゲームの名は誘拐」を借りることが出来た。もしも今日も図書館になかったら、貸出予約を入れようと思っていた。
借りられて良かった。一気に読んでしまいそう。
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「絶叫城殺人事件」読了
2004年3月10日 読書
有栖川有栖の「絶叫城殺人事件」読了。
ミステリの短編集。この日記では短編集ばかり紹介している気がするが、事実、短編集ばかり読んでいるのでこうなってしまう。そういえば、現在読みかけの、西澤保彦の「解体諸因」も短編集だ・・・。
この短編集はすべて建物にちなんだ話になっていて、巻末の解説者は意外なことに建築コンサルタントの竹島清氏・・・、って、何者だ、この人?多分その筋では有名なんだろう。新鮮な解説で、読んで得した気分になれる。
短編集は、その中で順位をつけて、面白かった作品はなぜ面白かったのか、つまらなかった作品はどこがつまらなかったのか、そういったところを書けば、それなりにまとまるものだけど、うーむ・・・、困った。「絶叫城」はどれもセンスよく、甲乙つけがたいのだ。
「黒鳥亭殺人事件」は子供との会話をからめた構想がよく、「月宮殿殺人事件」はトリビアのような知識にニンマリし、「紅雨荘殺人事件」は何といっても事件の背景が素晴らしい、といった具合。
ミステリファンなら楽しめること間違いない。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
昨日、順位戦C級1組の最終局があった。
万年昇級候補の屋敷伸之八段(4月から九段)がついに、ついにB級2組に昇級。長かったなぁ。C1で足踏みすること、10年以上。
将棋の勉強はスポーツ新聞の詰将棋のみという男、屋敷。それなら僕のほうが勉強時間が長いわい。
屋敷はそんな勉強量なのに、棋風は華麗で、ごちゃごちゃした終盤を軽やかにぶっちぎる。かっちょええ。
B級2組はあっさり通過しそうな予感。
もう一人の昇級者は野月浩貴。この男はあんまり興味ないし、今後タイトル戦にからむこともなさそうなので、ここでは二度と名前が出ないかも。
ミステリの短編集。この日記では短編集ばかり紹介している気がするが、事実、短編集ばかり読んでいるのでこうなってしまう。そういえば、現在読みかけの、西澤保彦の「解体諸因」も短編集だ・・・。
この短編集はすべて建物にちなんだ話になっていて、巻末の解説者は意外なことに建築コンサルタントの竹島清氏・・・、って、何者だ、この人?多分その筋では有名なんだろう。新鮮な解説で、読んで得した気分になれる。
短編集は、その中で順位をつけて、面白かった作品はなぜ面白かったのか、つまらなかった作品はどこがつまらなかったのか、そういったところを書けば、それなりにまとまるものだけど、うーむ・・・、困った。「絶叫城」はどれもセンスよく、甲乙つけがたいのだ。
「黒鳥亭殺人事件」は子供との会話をからめた構想がよく、「月宮殿殺人事件」はトリビアのような知識にニンマリし、「紅雨荘殺人事件」は何といっても事件の背景が素晴らしい、といった具合。
ミステリファンなら楽しめること間違いない。
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昨日、順位戦C級1組の最終局があった。
万年昇級候補の屋敷伸之八段(4月から九段)がついに、ついにB級2組に昇級。長かったなぁ。C1で足踏みすること、10年以上。
将棋の勉強はスポーツ新聞の詰将棋のみという男、屋敷。それなら僕のほうが勉強時間が長いわい。
屋敷はそんな勉強量なのに、棋風は華麗で、ごちゃごちゃした終盤を軽やかにぶっちぎる。かっちょええ。
B級2組はあっさり通過しそうな予感。
もう一人の昇級者は野月浩貴。この男はあんまり興味ないし、今後タイトル戦にからむこともなさそうなので、ここでは二度と名前が出ないかも。
「殺人買います」読了
2004年3月1日 読書
日本推理作家協会編の「殺人買います」を読了。タイトルのネーミングセンスはちょっとどうかと思った・・・。
ミステリの短編集。好きな作家から、初めて名前を聞く作家まで、9編のミステリが並んでいる。
その中で、面白かったのは佐野洋の「嘘つきの足」と、法月綸太郎の「使用中」。
「嘘つきの足」は、警部Aと警部補Bの会話だけで話が進められている。Aはちょっとした安楽椅子探偵といったところか。ストーリィがしっかりしている上、Aの感じる疑問点やBへの指示などが実に自然で、とても読みやすかった。
「使用中」は前半でミステリについての細かい話があり、それがラストになって生きている。というか、多分法月はこのラストを際立たせるために、前半にミステリ談義を持ってきたのだろう。法月の計算通り、うまくまとまっていると思う。
逆に、つまらなかったのは二階堂黎人の「素人カースケの世紀の対決」。
これはミステリとしては全然成り立っていないと思う。二階堂がいろんなミステリに精通しているという、ただそれだけだ。この話の中で、面白そうな小説がいくつか紹介されているので、今後の指標としては役に立つかもしれないが。
小説の断片を提示して、その題名や著者を当てるという趣向だが、そういった薀蓄よりも、トリックが斬新な小説とか、意外性のある小説で勝負してほしい。
二階堂黎人というと新本格派の一人として実績のある作家だが、この小説に限って言えばつまらなかった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
カレンダをめくった。
今月の写真は、四万十川だ。川の上を小さな船が進んでいる。きっと移動速度はとてもゆっくりだろうと思わせるような、小さくて古い木の船である。
川岸には黄色い花が咲き乱れていて、川面の暗い青とは対照的だ。
撮影場所は高知県の中村町だそうだ。
先月の三十三間堂と比べると、2月の写真の方が好きだけど、この写真もいい。
全部の都道府県に、一度は行ってみたい。
去年は夏頃に佐賀・長崎に行った(呼子のイカやウニは絶品だった)。
また、年末に浜松・名古屋・和歌山に行けた。
あ、春頃に北陸にも行ったな。
そろそろまた旅行したい・・・。
ミステリの短編集。好きな作家から、初めて名前を聞く作家まで、9編のミステリが並んでいる。
その中で、面白かったのは佐野洋の「嘘つきの足」と、法月綸太郎の「使用中」。
「嘘つきの足」は、警部Aと警部補Bの会話だけで話が進められている。Aはちょっとした安楽椅子探偵といったところか。ストーリィがしっかりしている上、Aの感じる疑問点やBへの指示などが実に自然で、とても読みやすかった。
「使用中」は前半でミステリについての細かい話があり、それがラストになって生きている。というか、多分法月はこのラストを際立たせるために、前半にミステリ談義を持ってきたのだろう。法月の計算通り、うまくまとまっていると思う。
逆に、つまらなかったのは二階堂黎人の「素人カースケの世紀の対決」。
これはミステリとしては全然成り立っていないと思う。二階堂がいろんなミステリに精通しているという、ただそれだけだ。この話の中で、面白そうな小説がいくつか紹介されているので、今後の指標としては役に立つかもしれないが。
小説の断片を提示して、その題名や著者を当てるという趣向だが、そういった薀蓄よりも、トリックが斬新な小説とか、意外性のある小説で勝負してほしい。
二階堂黎人というと新本格派の一人として実績のある作家だが、この小説に限って言えばつまらなかった。
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カレンダをめくった。
今月の写真は、四万十川だ。川の上を小さな船が進んでいる。きっと移動速度はとてもゆっくりだろうと思わせるような、小さくて古い木の船である。
川岸には黄色い花が咲き乱れていて、川面の暗い青とは対照的だ。
撮影場所は高知県の中村町だそうだ。
先月の三十三間堂と比べると、2月の写真の方が好きだけど、この写真もいい。
全部の都道府県に、一度は行ってみたい。
去年は夏頃に佐賀・長崎に行った(呼子のイカやウニは絶品だった)。
また、年末に浜松・名古屋・和歌山に行けた。
あ、春頃に北陸にも行ったな。
そろそろまた旅行したい・・・。
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