司馬遼太郎の「幕末」を読み終わった。ここに表紙を貼りたかったけど、画像が見つからなかった・・・。

まず思ったのは、文章うますぎ、ということ。
普通、作家が文章うまいのは当たり前の話だが、司馬の文才は桁が違う。
簡潔に、流れるように書かれているのに、必要なことはしっかり書かれている。人物描写が巧みでエピソードをうまく挟んだり、情景が目に浮かんだりする。
司馬遼太郎の文章の特徴を本気で学べば自分も文章がうまくなれそう、なんて思ってしまった。司馬の境地に自分が達するなんて不可能だけど、今よりはマシになりそう。

次に思ったのは、取材や調査の綿密さ。
いつどこにどんな人がいて、というだけでなく、当時の言葉から刀の種類まで、非常に細かく調べている印象を受けた(そういう細かい所をさらりと書ききってしまうところがまたすごい)。
これだけの調査を行ったということは、司馬はこの時代が本当に好きなんだろう。

この、幕末の混乱期の暗殺をテーマにした連作の中で、一番印象に残ったのは「死んでも死なぬ」。
伊藤俊輔(のちの博文)と井上聞多(のちの馨)の話。出だしからして強烈。えー、こんな場面から書き始めるの?

ここで書かれている俊輔と聞多はすごく魅力的だ。それなのに最後の最後で、井上馨は「貪官汚吏(たんかんおり)の巨魁として悪名をのこした」。
・・・、これだけ魅力的に書いておいて、そうなるのか・・・。
いい意味で、「死んでも死なぬ」には感覚を破壊された。

本題からちょっと離れて、国語の話。
この本を読んで気付いたのだが、現代語の「〜します」というのは「〜し申す」(しもうす、ではなく、しもす)が語源なのか?第1話の「桜田門外の変」に出てくる会話を読んでそう思った。

最後に一言、どうしても言いたいのは・・・、この本、蛍光ペンでラインがひかれていたり、余白にメモ書きがあったりした。
たれがやったか知らんが、図書館の本にそういうことをする不届き者には天誅でごあす。

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