講演会の話
2004年3月11日ちょっと前に参加した、講演会の話。
知り合いに誘われて、講演会に行った。
テーマは環境問題や食糧問題など、多岐に渡っていて、「1食分の牛肉を得るには10食分の穀物が必要だから、なるべくベジタリアンになれ。世界には飢えた人がいっぱいいるんだぞ。」とか、「ゴミを極力減らせ。日本はゴミの量が多くて恥ずかしいぞ。」とかいう話をしていた。
この話をした講師は理想の実現に邁進していて、私財をなげうって中東に井戸を掘りにいったり、飢餓で苦しむ人のことを考えて一日一食しか摂らないようにしていたりするそうだ。日本一社員の多い会社に勤めていたが、地球のために何かするべきだと考えるようになり、脱サラしてしまったという一直線な男だ。
講演の主旨は立派だったが、この講師の言うこと全てに従うのは無理があるし、ヨーロッパは進んでいて日本はダメ、という視点で物を話すのが気に入らず、冷めた態度で聞いてしまった。実情を説明するとき、いくつか数字を提示したが、数字の出どころを明らかにしていなかったし、統計特有のインチキ(数字のごまかしや、データに対する恣意的な考察)が行われていそうで、かなり胡散臭かった。
そんなふうに冷ややかな態度で聞いてしまった僕だが、ひとつ興味深い考え方を知ることが出来た。
それは、こんな考え方だ。
講師いわく、「用事があって、歩きなら1時間くらいかかる距離を、何らかの方法で移動しなければならなくなったとします。タイミングのいいことに、バスと、客待ちのタクシーが目の前にあります。あなたはどちらに乗りますか?なお、バスは200円、タクシーは600円かかるとします。」
そこでちょっと間をあける。
歩いて1時間の距離ならタクシーは1000円以上かかると思うぞ、と言いたかったが口に出せなかった。
講師は続ける。
「おそらく、1人で移動するならバス、3人以上で移動するならタクシーという方が多いのではないでしょうか。」
会場の何人かがウンウンとうなずく。
「1人ならバスが安いし、人数が多ければタクシー代を割り勘にすれば安くなるからそれは当然のことです。それはつまり、お金を基準にした考え方です。でも、」
ここで声が一際大きくなる。
「私はいつもバスをお勧めしたい。」
また間をあけて、聞いている人が考え込むように仕向ける。なかなかうまい話し方だ。
「なぜなら、バスはあなたが乗ろうが乗るまいが排気ガスを出している。タクシーはあなたが乗らなければ排気ガスを出さない。お金ではなく環境を基準にすれば、バスを選ぶべきです。」
これにはビックリ。へぇ〜、そんな考え方があるのか・・・。
タクシーだって他のお客を探して排気ガスを出して走ることになるだろう、と思ったが、これも言わなかった。
「今、ヨーロッパではこのように環境を基準に考える人がとても多いんです。日本は環境に対する意識が低いから、国際会議で白い目で見られるんです。」
この講師の言うことが全部事実だとは思いにくい。小さな出来事を、それが全てであるかのように語っている気がする。
しかし、「何を判断基準にして行動するか」ということだけは興味深かった。
判断基準はお金とか環境とか、他にも時間とか、いろいろありそうだ。自分の行動を振りかえってみたいと思ったし、周りの人の行動を考察してみたいとも思った。
講師が言いたいのは判断基準の多様性ではなく、環境を大事にってことだけど。
さて・・・、僕だったらバスとタクシーのどちらを選ぶか。
僕なら迷わず、どちらも使わずに歩く。歩くの好きだから(←判断基準は好き嫌い)。歩いて1時間の距離なら散歩にちょうどいい。
知り合いに誘われて、講演会に行った。
テーマは環境問題や食糧問題など、多岐に渡っていて、「1食分の牛肉を得るには10食分の穀物が必要だから、なるべくベジタリアンになれ。世界には飢えた人がいっぱいいるんだぞ。」とか、「ゴミを極力減らせ。日本はゴミの量が多くて恥ずかしいぞ。」とかいう話をしていた。
この話をした講師は理想の実現に邁進していて、私財をなげうって中東に井戸を掘りにいったり、飢餓で苦しむ人のことを考えて一日一食しか摂らないようにしていたりするそうだ。日本一社員の多い会社に勤めていたが、地球のために何かするべきだと考えるようになり、脱サラしてしまったという一直線な男だ。
講演の主旨は立派だったが、この講師の言うこと全てに従うのは無理があるし、ヨーロッパは進んでいて日本はダメ、という視点で物を話すのが気に入らず、冷めた態度で聞いてしまった。実情を説明するとき、いくつか数字を提示したが、数字の出どころを明らかにしていなかったし、統計特有のインチキ(数字のごまかしや、データに対する恣意的な考察)が行われていそうで、かなり胡散臭かった。
そんなふうに冷ややかな態度で聞いてしまった僕だが、ひとつ興味深い考え方を知ることが出来た。
それは、こんな考え方だ。
講師いわく、「用事があって、歩きなら1時間くらいかかる距離を、何らかの方法で移動しなければならなくなったとします。タイミングのいいことに、バスと、客待ちのタクシーが目の前にあります。あなたはどちらに乗りますか?なお、バスは200円、タクシーは600円かかるとします。」
そこでちょっと間をあける。
歩いて1時間の距離ならタクシーは1000円以上かかると思うぞ、と言いたかったが口に出せなかった。
講師は続ける。
「おそらく、1人で移動するならバス、3人以上で移動するならタクシーという方が多いのではないでしょうか。」
会場の何人かがウンウンとうなずく。
「1人ならバスが安いし、人数が多ければタクシー代を割り勘にすれば安くなるからそれは当然のことです。それはつまり、お金を基準にした考え方です。でも、」
ここで声が一際大きくなる。
「私はいつもバスをお勧めしたい。」
また間をあけて、聞いている人が考え込むように仕向ける。なかなかうまい話し方だ。
「なぜなら、バスはあなたが乗ろうが乗るまいが排気ガスを出している。タクシーはあなたが乗らなければ排気ガスを出さない。お金ではなく環境を基準にすれば、バスを選ぶべきです。」
これにはビックリ。へぇ〜、そんな考え方があるのか・・・。
タクシーだって他のお客を探して排気ガスを出して走ることになるだろう、と思ったが、これも言わなかった。
「今、ヨーロッパではこのように環境を基準に考える人がとても多いんです。日本は環境に対する意識が低いから、国際会議で白い目で見られるんです。」
この講師の言うことが全部事実だとは思いにくい。小さな出来事を、それが全てであるかのように語っている気がする。
しかし、「何を判断基準にして行動するか」ということだけは興味深かった。
判断基準はお金とか環境とか、他にも時間とか、いろいろありそうだ。自分の行動を振りかえってみたいと思ったし、周りの人の行動を考察してみたいとも思った。
講師が言いたいのは判断基準の多様性ではなく、環境を大事にってことだけど。
さて・・・、僕だったらバスとタクシーのどちらを選ぶか。
僕なら迷わず、どちらも使わずに歩く。歩くの好きだから(←判断基準は好き嫌い)。歩いて1時間の距離なら散歩にちょうどいい。
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